「#菅官房長官語で答える」

"歌手・俳優の福山雅治さんの結婚について感想を求められ、「出産で国家に貢献を」と発言をして“化石みたいな男”と一気に女子たちの話題に上った菅官房長官。どうやらいろんな意味で“人気”上昇中で、ツイッターにもハッシュタグができ、盛り上がっている。「#菅官房長官語で答える」だ。映画作家の想田和弘さんが、批判などのリプライにこのハッシュタグを用いて「その指摘は全く当たらない#菅官房長官語で答える」とツイートしたのが始まり。どんな中傷や非難のリプライにも、官房長官の言葉で答えると簡単に片づけてしまうことができ、これを延々と続けていくと、相手がイライラして、退いていく効果すらあるのがよく見えて、官房長官語は無敵だ、と話題になっているのだ。

「そのようなことは断じてない」「不退転の決意で、正々堂々と、法令に則って粛々と進めるだけ」「よく意味が分からないというのが率直なところだ。レッテル貼りはやめていただきたい」など、いくつかのバリエーションはあるものの、それでほとんどのリプライに応答できてしまうところが面白い。
 想田氏自身、この表現のコツについて「相手の質問や抗議に対して決して答えないこと」「木で鼻を括ったような定型句を繰り出す。するとコミュニケーションがそこで遮断される。議論にならない。なりようがない。」とし、「安倍氏の言葉も橋下氏の言葉も、基本的にはコミュニケーションを遮断する目的で使われる。実はそれ以外の機能はない。菅語を回りくどくすると安倍語になり、攻撃的にすると橋下語になる。これを言葉で説明しても伝わりにくい。そこで試みたのが #菅官房長官語で答える 実験だ。実際に菅語で返答すると、面白いようにコミュニケーションが遮断される。その様子を見ている側は、僕の菅語がコピペであることを知っている。そこで明らかになるのは、僕ではなく菅氏の言葉の暴力性だ」と、この#が、一種の実験であることを明かしている。

 実際、真摯に意見をツイートして、この#のセリフで返答されると、誰でもイラつくだろう。想田氏も「タグとともにリプライされた方々は、きっとイライラされたと思います。僕への問いかけや抗議が真摯であればあるほど、そのイライラは大きかったはずです。申し訳ないけれども、みなさんには「なぜ自分はイライラしたのか?」を自問していただきたい」と書いた。"