"うちの妹の大学時代の友達に、誰もが知っている某消費財メーカーの創業家のお嬢がいたけど、下々の者など別に嫌っていなかったし腹も立てていなかったよ。
一貫校でずっとそれなりの生活水準の友達とばかり付き合ってきて、うちの妹と友だちになって、初めてファミレスやマクドナルドやカラオケボックスに行くようになって、うちにきた時に「世の中にはほんとうにわたくしが知らない世界があって、おいしいものがあるものなのですね」と言ったもんだよ。
で、うちの狭い家に来てメシ食って帰った週の週末に、黒塗りの車がやってきて、お父さんだかおじいちゃんだかの会社の秘書部の人が「このたびはお嬢様がたいへんお世話になりまして、つまらないものですが」と高島屋のお菓子と商品券を置いて帰った。
わしも彼女とは友達になって、彼女が会員になっているテニスクラブとか連れて行ってもらったけど、ほんと金持ちには金持ちの世界があるんだよ。
うちの妹が結婚するなら金持ちとでなければダメと固く信じるようになったのはあの子と友達になってハイソな世界を見るようになったからだと思う。お陰で売れ残りになってしまったけど。"
