リビドーからうつ病を考えてみる

http://shinagawasn.blog.so-net.ne.jp/2012-10-05-2
などで、うつ病についてあれこれ書いているのだが
もっとわかりやすく言えないものかと考える

うつ病の基本的な特徴は食欲もない、夜も眠れない、元気が無い、頑張る意味がなくなった、などだろう

リビドーという言葉は過去のもので、もう誰も言わないのだが
だから気軽に使ってみようと思う

意欲、欲望、やる気、興味、好奇心、そういったもの全般を含む、何か

食欲や性欲が分かりやすく、自己保存本能や種保存本能と呼ばれる。
しかしそれにとどまらず、マズローの欲求段階説で語られているいろいろな欲求を含んでよいものと思われる。
社会的な肯定や自己実現の欲求まで。

そのようなリビドーの振る舞いを考えてみる。

1.リビドーそのものが低下、消失している場合
これはアパシーといってもいいし、ひきこもりの一部もこれだろう。
メランコリーの全部がこれだとも思わないのは、たとえばムーミンに出てくる「無駄じゃ無駄じゃ」の哲学者は
結局、無駄だと言っている元気があるのであるから、鬱ではないのだろう。厭世家とかそんなところだろう。
興奮のあと、頑張ったあと、躁状態のあと、シゾフレニーの陽性症状のあと、
軒並み、リビドー低下・消失に至り、1.タイプのうつ病になる。

2.リビドーはたくさんあり、対象もあるのに、せき止められている状態
とても素敵な恋愛の対象がそこにあるのに禁じられている場合。
一般に葛藤状態と言われる。症状としては昔でいうフロイト的神経症である。
ときに、リビドー消失と同じ症状を呈し、疾病利得を得ようとする場合がある。

3.やはりリビドーはたくさんあるが、対象が失われた場合。対象喪失。
愛の対象を失った場合。ペットを失った場合。生きがいを失った場合。

4.リビドーが、対象と幸せな結合をする場合。

微妙な例を除けば
だいたいこの4つくらいになるのではないかと思う。

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DSMⅣのうつで書かれている
1.憂うつ、は3.の対象喪失の系統。
2.興味と喜びの喪失は1.のリビドーそのものの低下。

2.のリビドーがせき止められた状態については神経症そのものなので、解体されて、分散しているのだが
身体表現性障害が典型的だと思う。
しかし身体表現性以外に「リビドー抑圧の結果としての精神表現性障害」があるはずであるが、
たぶんどのような精神症状も可能だろうと思う。

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リビドーはたくさんあるけれども、対象がない、または発散経路をせき止められているという場合、
「イライラする」というのが症状の中心になるのではないかと思う。

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フロイトの時代の例で言えば、兄のお嫁さんに恋をしているのだけれども、
もちろん、周囲の状況は許さず、性欲の満足には至ることができない。
そのようなせき止められ方。

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このような分類を考えるとして、会社恐怖症はどのような類型になるのだろう。

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アパシー・シンドローム(退却神経症)とか逃避型抑うつはどんなことになるだろう。
どちらも性格類型を念頭に置いているような気がする。

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比喩を続けると
1.自動車のガソリンが無いか、エンジンが故障しているかで、エンジンが動かない。
→リビドー消失型。

2.エンジンは動いていて、ブレーキを外せば動くのだけれども、ブレーキを外すことができなくて、結局動かない。
→リビドーはあるのだけれども、抑制されている、葛藤型。

3.エンジンは動いていて、ブレーキもかかっていない、前進はするのだけれども、どこが目的地なのかわからず、
やみくもに走り回る。
→リビドー対象喪失型。

4.エンジンは動いていて、ブレーキを外せば動くのだけれども、ブレーキを外すことができなくて、結局動かない。ここまでは2.と同じだけれど、実際のブレーキはない。会社・学校恐怖症とも言えるし、疾病利得型とも言える。
→恐怖症型。葛藤がない。アンビバレント型ではない。むしろ言うならスプリット型である。
意識化の葛藤ではない。会社は嫌だが、やめるのも怖いという状況。人によってはわがままと言うだろう。