ノルウェー王室のマッタ・ルイーセ王女の元夫であるアリ・ベン氏が、クリスマスに自殺をした。葬式は3日にオスロ大聖堂で執り行われた。
自殺がタブーで、クリスマスの孤独が社会問題だったノルウェー。元王室一家の一員であった有名人の死は、国民に大きな衝撃を与え、クリスマスや年末年始は悲しい雰囲気に包まれた。
葬式は現地の公共局で生中継された。ノルウェー王室一家は全員参列し、スウェーデンの王室メンバーやノルウェーの首相や閣僚も出席。
ベン氏の家族や、ルイーセ王女との間に生まれた3人の子どもたちの顔の撮影などは遠慮してほしいという要望に、公共局は家族の撮影を控えめに行った。
子どもたちたちを代表して、マウド・アンジェリカさん(16)はお別れの言葉を壇上で読み上げた。その様子は中継され、隣ではルイーセ王女が寄り添い、娘の背中を支え続けた。
マウドさんは父親の似顔絵を描いていた。「クリスマスにプレゼントにするつもりだったのに、渡せなかった」と、絵は棺の上に置かれた。
注目を集めたのは、そのスピーチ内容だった。大好きだったパパへの愛と感謝の言葉を述べるだけでなく、精神的に病んでいる国民へ、マウドさんはこう語りかけた。
「パパはとても疲れてしまって、この世界を離れることでしか出口はないと感じていました」
「精神的な病気を抱えている、全ての人に伝えたいことがあります。出口は、必ずあります。そうとは思えないかもしれないけれど。外の世界には、助けてくれる人たちがいます。助けを求めることは、弱さではありません。強さです」
「命を絶ったほうがいいなんて、思わないでください。それは間違いだって、私はあなた方に約束できます」
「大好きよ、パパ。パパは私のことをダイヤモンドだって言ってくれたけど、私にとってはパパが輝くダイヤモンドだよ」
父親との別れの儀式で、生中継に立つ心強さ。大切な場で、心の病気を抱える国民にメッセージを送った16歳の優しさは、現地メディアや市民に高く評価された。