うつ ご本人へ
うつ状態に悩む方へ
原因
たいていのうつ状態は、「精神病のうつ病」と表面的には似ている点があるものの、根本的には
全く別のものです。うつ状態は、がんばりすぎた後に、「ちょっと休息をください」と心と体が
要求している状態です。精神病ではなく、ストレス反応性のものです。専門的には、脳の神経伝
達物質とレセプターの部分に疲労による変化が起こるのだろうと推定されています。
寒いところにいれば風邪をひくように、ストレスを受けながらがんばりすぎた後に、うつ状態
になります。風邪もうつ状態もどちらも重病とはいえないものの、病気の一種で、休息が必要で
あることも共通しています。こじらせないことが第一です。
気合いではなく、休息
気合いを入れても良くなるものではありません。逆に、がんばればそれだけ心のエネルギーを使
い果たすことになります。気持ちがたるんでいるからうつ状態になったのではなく、うつ状態
になったから元気が出ないのです。必要なのは休息です。
マラソンの後には筋肉痛が起こります。休養をとって回復を待ちましょう。
お薬
休息をとっていてもうつ状態はつらいものです。薬でそのつらさをやわらげることができます。
薬が本格的に効き始めるまで、約二週間待って下さい。その後はとても楽になります。いろいろ
な薬があり、作用も違いますから、そのつど説明します。副作用やのみ合わせの心配などにもお
答えします。疑問点は遠慮なくおたずね下さい。新しい薬は副作用はほとんどありません。約三
〜六ヶ月のあいだ薬を使います。その後はすっかり元の生活に戻ります。
漢方薬を用いて治療することも有効です。また、薬物は使いたくないとご希望の方もいらっし
ゃいます。納得できるようによく話し合いましょう。
期間
完全に治り、もとの生活に戻るまでには三ヶ月から六ヶ月と考えて下さい。仕事は、状況により
ますが、できれば一、二ヶ月程度は休むのがよいようです。診断書を提出して落ち着いて治療に
専念しましょう。職場復帰にあたっては、仕事内容、職場、時間などの調整をします。たとえば
半日勤務で開始することなどを会社に要請することもあります。
波
数カ月の間には軽い波があるのが普通です。途中で少し悪くなっても悲観しないことです。全体
としてよい方向に向かっているのだから大丈夫だと考えましょう。
後遺症
命には別状ありません。後遺症もありません。遺伝もしません。ご安心ください。
大きな決断
治療が終わるまで、仕事、学校、家庭での大きな決断はしないようにしましょう。退職、退学、
離婚などの必要はありません。休職や休学でよいのです。体調が万全になってから、その先のこ
とを考えましょう。いまは悲観的な考えしかわいてきません。
ご家族の理解
ご家族の方にも病気の説明をします。休養中に気分よく過ごせるように、ご家族に協力していた
だきましょう。
アルコールはがまん
治療が終わるまで、アルコールはがまんしましょう。
居場所の確保
休養中に居場所がないのが悩みとなることがあります。自宅、図書館、喫茶店、公園などで時間
を過ごすことも多いようです。病気について理解を深めながら、この機会に仕事の仕方やライフ
スタイルについて点検してみましょう。