葛藤(かっとう)
現代の辞書に於いて葛藤(かっとう)の意味は、葛(かずら)がつる草の総称であり、藤もつるを有する花木である事から、もつれ合う葛(かずら)や藤の意で人と人とが譲る事なく対立する事や争いを言うと解説している。
葛藤(かっとう)を「もつれ」と読み、心の中に相反する欲求が同時に起こり、そのどちらを選ぶか迷う心的なもつれの事も言うとも解説している。
しかしその解説は、本当の歴史を知らない言語学者や歴史学者の多くが、定説に対する辻褄合わせの為に作為的に事実を見落とす愚を犯している表面的な解説に過ぎない。
我輩は、葛藤(かっとう)の意味を、大和朝廷(ヤマト王権)内部に於ける統治上の葛城氏と藤原氏の激しいもつれが「葛藤(かっとう)の語源の成立要因ではないか」と考える。
大和朝廷(ヤマト王権)成立初期当時とされる特筆すべきミステリーは、有力豪族(臣王・御門)の葛城氏が、忽然と中央政界から姿を消した事こそ神武王朝から葛城王朝に「かえしね」=「返し根(根を返した)」が行われた証拠ではないだろうか?
大王家(おおきみけ/天皇家)には氏姓が無い。
何故なら、この世に唯一無二の氏姓を授ける側だからである。
葛城氏が大王家(おおきみけ/天皇家)を継いだ事で、中央からこの氏姓(葛城)が消えた事は、この氏姓を授ける側に成った事が理由であれば納得が行くのである。
当時の大王(おおきみ/帝)は神武系から皇統を受け継いだ葛城氏系であり、最有力の豪族(臣王)には中臣姓から藤原姓に替わった藤原氏が居た。
そうなればお定まりの勢力争いが、朝廷(ヤマト王権)内部に噴出しても不思議はない。
葛城氏(かつらぎ/かずらぎ)の葛(かずら/クズ)はマメ科属のつる性の多年草であり、根を用いて食品の葛粉や漢方薬が作られる漢方・葛根湯(かっこんとう)に調剤する方剤の一種類である。
その葛(かずら/クズ)の生長は凄まじいものがあり、チョットした低木林ならばその上を覆い尽くし、木から新しい枝が上に伸びるとそれに巻き付いてねじ曲げてしまう事もある。
まるで神武朝に巻き付いてねじ曲げ、秘密裏に葛城朝を起こした事を暗示させるネーミングの様ではないか?
勿論、同じつる性マメ科属の一つでフジ属・藤がライバル藤原氏であれば、両者が絡み合って政府の舵取りに「葛藤(かっとう)していた」は、講釈師並の符合である。