"白居易(はくきょい)(772~819)
白楽天(はくらくてん)ともいいます。前の三人よりあとの時代の人です。
「長恨歌(ちょうごんか)」という詩が有名。これは玄宗と楊貴妃の悲恋を詩にしたものです。平安貴族に愛唱されたので、日本で有名になりました。
白居易は作詩するときに何度も推敲する。推敲の仕方が面白い。まず詩ができると、街へ出ていき道ゆく老婆をつかまえて、無理矢理詩を聞かせる。お婆さんが「よくわからないなあ」という顔をしていたら、持ちかえって書き直す。で、また通りすがりの老人をつかまえて聞かせる。聞かされた人が「いいねえ」という顔をしたら完成です。
白居易がためしに聞かせる相手はみんな庶民。文学の素養なんかない普通の人ばかり。そういう人たちでも感動できる作品をめざすのです。かれの詩の特徴は平易で流麗ということですが、こういう作詩の態度からきているのですね。
日本の貴族たちにうけたのも、平易な文で理解しやすかったからではと思います。"