動物の姿に変えられた人物が天の星座になる。男が作った女性の彫像が命を得て男の妻になる。こうしたストーリーの神話が世界のいろいろな文化に伝わっている。空間的にも時間的にもかけ離れた多くの文化に伝わる神話の粗筋が驚くほど似通っているのはなぜなのか? 神話の歴史を解き明かすため,新たな研究モデルが開発された。進化生物学の考え方に基づいた統計的ツールを利用する。系統解析によって作成した系統樹から,個別の神話の“種”が徐々に進化したこと,人類がアフリカから世界に拡散した大規模な移住と軌を一にして広がったことが明らかになった。先史時代の文化を覗き見る窓にもなりそうだ。