あれだけ狂信的な軍国主義だった日本が、アメリカの占領政策をあっさり受け入れた、これには当のアメリカがびっくりしたし、これは日本の近代史のひとつの疑問でした。
しかし、今まで述べたように、これはアメリカのもたらした革命だったのです。アメリカが古い支配階級を追い払ってくれたことによって、いままで被支配階級だった人間にチャンスが生まれた。だからこそ、そのチャンスをものにしようと、多くの日本人はアメリカを支持した。旧体制を追い払って、多くの人にチャンスをもたらすアメリカを支持したのです。
多くの日本人は、アメリカの力を借りて、古い支配階級を追い払って、自分たちが主役の時代を作ろうとしたのです。
そして、日本が戦後、一貫して徹底的な親米国家であり、徹底的な戦争回避国家であったのも、これによって説明されるでしょう。アメリカによって旧支配階級が追い払われた後、新しく権力の座に就いたのは、当然親米の人たちだったのです。アメリカに追随することによって権力を得た人たちの政権が、徹底して親米であり続けたのは、まったくの当然です。
そして、軍人が追い払われた後に権力の座に就いた人たちが、徹底的に非軍事の戦争回避思想だったのも、当然です。軍人たちの台頭こそが、新しい権力者たちの権力をおびやかす最大の脅威だったから、日本は非戦国家を貫いたのです。