自衛官募集に協力、京都市が18歳と22歳の市民名簿提供へ
京都市が、自衛官の募集に協力するため、18、22歳になる市民の宛名シールを住民基本台帳データに基づき作成し、来年度分から自衛隊京都地方協力本部に提供する方針を決めたことが17日分かった。全国の自治体では過半数が、各地方協力本部の要請に対して閲覧対応にとどめている。20政令指定都市で昨年度に紙媒体で名簿情報を提供したのは川崎、熊本の2市だけという。
提供する宛名シールは縦約5センチ、横約8センチで、住所と氏名を記入する。初回は2019年度中に18歳、22歳になる市民約1万人分を対象に作成し、来年1月ごろに男女別、区別に分けて同本部に手渡すという。
宛名シールにすることで、同本部は郵便物にそのまま貼って使える。シールにした理由について市地域自治推進室は「紙や電子データでは自衛隊側に名簿が残ってしまう。募集だけに使うのであれば個人情報保護の観点からシールの方が望ましい」と説明する。
防衛省によると、自衛隊は毎年、高校や大学を卒業する年齢にあたる18、22歳を中心に若者の情報を自治体から得ている。住民基本台帳法に基づき住民基本台帳の閲覧を各自治体に申請し、担当職員が名前と生年月日、性別、住所を書き写す方法が一般的だという。
同省のまとめでは昨年度、閲覧で対応したのは全国約1700の市区町村のうち約55%にあたる931。紙や電子媒体で名簿を提供したのは約35%の632。残る約1割は小規模自治体などで、同省が情報提供を求めていないという。
名簿の提供まで求めるのは、人件費の削減や転記ミスの防止など募集事務の効率化が狙いだ。また少子化や企業の人手不足などを受け、自衛隊の主力隊員になる「自衛官候補生」の採用は14年度から4年連続で計画を下回っており、募集活動を強化する必要にも迫られている。
京都市は08年度から閲覧に応じてきたが、今年5月に同本部から名簿の提供を求められたという。提供は今月9日にあった情報公開・個人情報保護審議会で承認された。