・最新の文献を一元的に収集する方法を知る
みなさんは、どうやって文献を集めていますか? 救急分野に限らず、どの分野でも診断や治療方針などが日進月歩で変化していきますので、最新情報についていくだけでも大変です。常にアンテナを張って、最新の情報を効率よく収集することが重要になります。最近は日経メディカルをはじめとして、トピックとなる文献を日本語で解説してくれるウェブサイトも多いですが、ここでは一次情報となる原著論文を効率よく集めるための技をご紹介します。
NEJMやJAMAなど英文雑誌のウェブサイトを見ることはあると思いますが、複数の雑誌をチェックするとなると、とても面倒です。手間や時間を節約するためには、情報を一カ所に集め、メールなどで自動的に手元に届くようにすると便利です。そうすれば、勝手に新着情報が送られてくるので、あとはメールを開くだけということになります。
雑誌のメール通知機能を利用する
「この雑誌は毎回必ず読みたい」という場合にはメール通知が便利です。ほとんどの雑誌にはウェブサイトにメール通知用のボタンがついているので、メールアドレスを登録しましょう。最新号が発行されると登録したメールアドレスに送信されますので、読み忘れの防止に便利です。
一部の雑誌ではPodcastを配信しているものもあり、お手元のスマートフォンに最新号の内容が音声として自動的に配信されます。英語のリスニングの勉強にもなるので一石二鳥です。 例えば、NEJMですと、トップページの一番下の「STAY CONNECTED」の中に、「Email Alerts」と「Podcasts」のリンクが見つかります。
PubMedの通知機能を利用する
「いろいろな雑誌をとにかくまとめて読みたい」という場合は、実はPubMedが使えます。PubMedを検索で利用する人は多いと思いますが、複数の雑誌の新着情報をまとめてメールで通知することが可能です。PubMedの検索窓に「”雑誌名”[ta]」 と入力するとその雑誌の記事がすべて出てきます。複数の雑誌を読みたい場合は「”雑誌名A”[ta] OR “雑誌名B”[ta] OR …」とORでつなぎます。レターなどアブストラクトのない記事を除外したければ最後に「AND hasabstract」を付けておきます。
例えば、Annals of emergency medicineとResuscitationとCritical Care Medicineの3誌を読みたい場合、
((“Annals of emergency medicine”[ta]) OR (“Resuscitation”[ta]) OR (“Critical Care Medicine”[ta])) AND hasabstract
としておくと、この3誌の記事が一覧できます。
さらに、この検索式を保存しておくと、検索式に合う新しい項目がPubMedに登録されると通知してくれるようになります。つまり、読みたい雑誌のどれかに新着記事があるとその都度メールしてくれるということです。検索窓のすぐ下の「Create alert」をクリックしてみましょう。指示に従ってNCBIのアカウントを作成すれば、登録したメールアドレスに新着記事が送られてくるようになります。読みたい雑誌を自由にアレンジできますが、PubMedに登録された時点での配信なので、雑誌に掲載された時点からは多少遅れる場合があります。
まとめサービスを利用する
「救急系で最新の注目論文を知りたい」「◯◯内科でのトピックは何だろう」というときには、分野ごとに注目すべき最新の論文をまとめてくれるサービスを利用しましょう。 NEJM journal watchやEvidence Alertsなどがあります。いずれもメールアドレスなどを登録する必要がありますが、いろいろな雑誌の中から注目すべき論文を選んで配信してくれるので、自分が読んでいない雑誌の論文まで知ることができて便利です。
EM Allianceでは、救急医が選んだ注目論文をウェブサイトで紹介しています。メーリングリストに入ると、同じ内容が配信されてきますので、ぜひご利用ください。
このように文献を収集するには様々な方法があります。自分の勉強スタイルに合わせて、上記の方法を組み合わせてみてはいかがでしょうか。また、他にいい方法がありましたらコメントをいただけますと幸いです。
今回のポイント
・PubMedの検索・通知機能をうまく利用する
・既存のまとめサービスを利用する