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「マグロ船ではすごいことができるやつは尊敬されんのぞ」
「ええ! できる人だから「船長」になるんじゃないんですか……」
「自分がデキ過ぎると、普通の人やらの気持ちやらが分ねぇんじゃねぇか。それでつい“何で、こんなこともできよらんのか、このバカ!”ちゅーて怒鳴るけぇ、みんな嫌々働くようになる」
「なるほどですね。 みんなやる気をなくしちゃうんですね」
でも、そうした怒鳴る船長の下では、負けん気のある漁師は「いつか見返してやろう!」と頑張り、いい船になるような感じもしたので、その辺りはどうなのかを尋ねてみました。
「う~ん。何でもできるよる船長は、若ぇ子たちに“早ぅ、仕事を覚えろ!”と怒鳴るくせに、実際、若ぇ子が巧くなってくると邪魔するけぇのぉ」
「“デキること”をウリに船長になってしまうと、他の人に追い抜かされそうになると必要以上に脅威に感じてしまうんですかね?」
「そげ~じゃのぉ~。だからデキる船長の下では、案外いい船になりにきぃ」
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