自律訓練法
どんなときに有効ですか?
たとえば、何か気になることがあるときに、「とらわれ」の心理に陥ることがあります。あまり気にしてはいけないと思っていると、なおさら気になってしまうのが「とらわれ」の心理です。何かして気分を変えようと思うのですが、うまくいきません。そんなとき、いろいろな方法がありますが、特に有効性の高い方法が自律訓練法です。
予期不安に有効と聞きましたが?
そうです。大変有効です。予期不安とは、たとえば、「電車に乗ると心臓がドキドキして困る」と悩んでいる人が、「また電車に乗ってドキドキしてしまったらどうしよう」と不安を予期して不安になってしまう状態をいいます。この人の場合、まだ電車に乗っていないのに、不安が高まってしまうのです。こんな時に、自律訓練法を試してみて下さい。
不眠症に有効ですか?
有効です。ふとんに入って自律訓練法を練習していて、眠り込んでしまった体験のある人は多いと思います。心身をリラックスさせる方法ですから、寝る前にやれば、寝付きがよくなります。
試験前の緊張をほぐすのに有効ですか?
有効です。特別な道具などいっさい不必要ですから、試験会場でもできます。待ち時間のあいだに自律訓練法をしていると落ち着くと思います。
副作用はありますか?
特にありません。
なぜ有効なのですか?
次のようなたとえ話で考えてみて下さい。心の中を真っ暗な洞窟だと考えてみます。真っ暗だとどうしようもないので、懐中電灯で照らします。普段の状態であれば、懐中電灯であちこちを照らしてみて、洞窟の中の状態がだんだん全体的に把握されてきます。わたしたちの不安が高まって「とらわれ」の状態になると、心の中は不安でいっぱいになってしまいます。これを洞窟のたとえで説明すると、懐中電灯で洞窟の中の「不安」という立て札を偶然照らしてしまったあなたは、もう懐中電灯を他の方向に向けることができなくなっているのです。「別の方向に向けよう」と焦るのですが、どうしても「不安」という立て札を照らしてしまうのです。
そこで自律訓練法ですが、まず、心の中の懐中電灯を自由な方向に向けることができるようになります。そうすれば、心の中には不安だけではなくていろいろなものがあるのだと理解できて、安心できます。これが第一段階です。
自律訓練法には第二段階があります。それは、懐中電灯の光の範囲を変えることにたとえられます。普通の懐中電灯は一度に狭い部分だけしか照らすことができません。しかし電球部分を工夫すれば、360度近くの広い範囲を照らすことができるようになるでしょう。狭い部分をいくつも見て総合するのではなく、一度に広い範囲を見渡せるようになるのです。意識がこのような状態になれば、とてもすばらしいではないでしょうか。禅やヨーガでめざしている状態の一部分はこのようなものと考えられます。自律訓練法に熟達すれば、そのようなことも可能になります。
当院で実際の方法を指導していますので、体験してみて下さい。
薬を減らすことができますか?
不安に対処するために薬を使っている人は、自律訓練法を併用することで薬を減らすことができます。副作用がつらい人、薬が嫌いな人、妊娠・出産・授乳を予定している人などの場合には自律訓練法を積極的に考えてみて下さい。また、病気や薬に関係なく、積極的リラクゼーションテクニックとして有効活用している人たちも増えてきています。おためしください。