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正しいことや美しいことを端正な言葉で表現するのはふさわしい
これは分かる
不正なことや醜いことを端正な言葉で表現するのはどうなのかという問題はある
不正さや醜さに応じた、それ自体不正な匂いのする、醜い音がする言葉で表現するのがふさわしいのだろうか
和歌の世界は典型的に美しいものを美しい言葉での世界である
現実など問題ではなくて源氏物語の知識のほうが大事ということになる
最近でも櫂の詩人などは
怒りも不安も美しく表現したと思う
それがいいことんなのか
それとも不快なことを不快な言葉で書いたほうがいいものだろうか
内容と形式は一致したほうが自然なのだろうか
それとも文芸という芸術であるからには
名人の言葉の選択で
あるいは絵画ならば名人の線と色彩で描いたほうがいいのだろうか
そうなると、放射能の不安なども、線自体は美しい、言葉自体は美しいという事態もありうる
いろいろなアプローチがあるという結論だろうか
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