「睡眠サイクルのズレと学校の時間割のズレが、成績の低迷に関連している」

朝や日中の授業中は眠くて真面目に勉強ができないのに、家に帰って夜になると急に元気が出てくる、という人は少なくないはず。そんな人たちの実感を裏付ける、「睡眠サイクルのズレと学校の時間割のズレが、成績の低迷に関連している」という調査結果が発表されています。
Poor grades tied to class times that don’t match our biological clocks | Berkeley News
http://news.berkeley.edu/2018/03/29/social-jetlag/
カリフォルニア大学バークレー校とノースウェスタン大学の研究者たちは、大学のキャンパスサーバーにログインしている約1万5000人の学生を対象に、講義がない日の個々人のオンライン活動を調査しました。調査で得られた情報を基に、研究者たちは大学生たちを「夜のフクロウ型」「日中のスズメ型」「朝のヒバリ型」の3種類に分類し、学生の学業成績と分類された3つのタイプの関連性を見いだしています。
その結果、「夜のフクロウ型」の学生が早朝の講義を受講するなど、講義のない日の生活リズムとズレた講義スケジュールを組んでいる学生の多くに、学業成績の低迷が見られたとのこと。
研究を行った日周期のリズム障害を研究するベンジャミン・スマー氏は、「私たちは、多くの生徒が講義時間と自然な生活リズムの間に『社会的な時差』を持っており、これが学業成績の低下と非常に強く相関していることを発見しました」と述べています。また、社会的な時差は学業成績の低迷だけでなく、肥満やアルコール・タバコの過剰服用といった影響ももたらしているとのこと。
「夜のフクロウ型」「日中のスズメ型」「朝のヒバリ型」全てのタイプについて、生活リズムと講義時間帯のズレによる悪影響が見られましたが、中でも「夜のフクロウ型」はほぼ常に社会的時差に悩まされており、ほとんどが最適なパフォーマンスを発揮できていないと考えられています。スマー氏は「講義は朝から夕方にかけて行われるため、生活リズムとのミスマッチは『夜のフクロウ型』が最も大きくなります。しかし、『朝のヒバリ型』や『日中のスズメ型』は夜間のクラスで悪影響を受けるなど、全てのタイプは社会的時差から逃れられません」と語り、生活リズムの違う学生が大勢いる以上、教育に一つの解決策はないとしています。
調査対象となった大学生のうち、約40%の大学生は生活リズムと講義リズムが同期しており、そのほとんどが高いGPAを収めていました。しかし、約50%の大学生はしっかりと覚醒する前に講義を受けることになり、約10%は覚醒のピークを過ぎてから講義を受けることになっていたとのこと。
スマー氏は「『夜のフクロウ型』の生徒に早く寝るよう働きかけるのではなく、生活リズムと講義との社会的時差が出ないよう、教育を個別化する方法をとるべきです」と述べ、学生が最もパフォーマンスを発揮できる時間帯に教育が受けられるよう、教育体制を整える必要があるとしています。