木川:災害が起きたときには、常に同じことが起きているのですが、救援物資の管理については地方自治体のかたが仕切るわけです。多くの場合そのかたには、ロジスティックス(物流・資材調達)の専門知識がありません。
糸井:そうでしょうね。
木川:その一方で、救援物資はどんどん集まってくるわけです。水が来る、食料品が来る、衣類も来る。そしてそれらは、およそ物流の拠点にふさわしくない体育館であったり、公会堂であったり、学校であったり、そういう場所へまずは運び込まれます。ところが、そういう場所は、中は広くていいんですが、出入り口が狭いんです。救援物資はどんどん来るから、どんどんそこに入れられていく。そうするともう、最初に入れられた荷物は出せなくなる。
糸井:ボトルネックだらけになるんですね。
木川:そう。必然的に「後入れ先出し」になるんです。後から来たものを最初に出す。いちばん最初に入れたものが食料品だったら、賞味期限が切れてしまいます。
糸井:うーーん……。
・・・
糸井:せつないなぁ。
木川:そういう状況をロジスティックスの専門家が仕切ると、うまく回転がはじまるんです。たとえば、気仙沼市では、「ぜんぶヤマトに任せる」ということになりました。もう自分たちの手に負えないと。それで、大混乱してる状態でぼくらが引き受けて、二日目には完璧に「どこに何がいくつあるか」をパソコンに入力し、その置き場所のレイアウトも完了しました。
糸井:所番地をつけたわけですね。
木川:そう、所番地をつけた。すると、歯ブラシ一本とか、長靴一足とか、ほしい物をすっと出してお渡しすることができるようになりました。