人間の場合、最初に一応被害的な考えが浮かんできて、それを打ち消すというのが
脳の働きなのだと思う
そのように「瞬時に打ち消す自動の働き」が失われるときに
被害妄想として固定化するのだろう
幻聴は被害妄想の一つの形である
考えが声になりやすいというだけである
従って、自動的に湧いて出る被害的な考えを
瞬時に打ち消す自動の働きを回復するか
自動でできないならば幾分意識的にできるようにするか
ということが対策になる
自動的に湧いて出る被害的な考えを、湧いて出ないようにするのも一つの解決であるが
それはテレビがうるさいからテレビの電源を切ってしまうようなものだろう
良い解決とはいえない
この点だけを考えれば
被害妄想を自我障害と見なすことはできないと思われる
幻聴は自分の考えなのに他人の声だと認識するところが
自我障害だとみなされる点であるが
考えが声になるという点が納得できないだけではないかと思う
それが他人の声でも自分の声でも
精神病理学的に本質的に差異はないのではないかと思う