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依存症について、有名なラットの実験がある。
水が入った2本のボトルを備え付けた檻の中に、ラットを1匹入れる。一方のボトルは普通の水であるが、もう1本にはヘロインを溶かしてある。最初ラットは、どちらのボトルからも水を飲むが、すぐにヘロイン入りの水を選んで飲むようになり、たちまちヘロイン依存症になってしまった。
今度は同じように2種類のボトルを用意し、もっと大きな檻に取り付ける。そして、檻の中にはほかに、たくさんの遊具を用意し、ここに20匹のラットを入れる。すると何が起こったか。
ラットはヘロインには見向きもせず、餌を食べたり、遊んだり、メスのラットをめぐって喧嘩をしたり、交尾をしたり、こうした仲間との活動に勤しんだ。もちろん、中にはヘロイン入りの水を飲んだラットもいる。
しかし、ヘロイン依存症にはならなかった。驚くべきことに、ヘロイン依存症になったラットをこの檻に入れると、このラットも仲間との活動や遊びなどに熱中し、ヘロインに見向きもしなくなった。
この実験で何がわかったか。ヘロインはそれ自体で強力な依存性を持つ薬物であるが、ラットが依存症になってしまうのは、ヘロイン単独の作用だけではなく、そこに孤独や退屈という要因が加わっていたということだ。
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