『指鹿為馬』

『指鹿為馬』(しろくいば 訓読:しかをさしてうまとなす)
 
 道理に合わないことを、権力を背景に無理に言いくるめる。
 
《出典》
 司馬遷『史記・秦始皇本紀』
 
趙高欲為亂、恐群臣不聽、乃先設驗。持鹿獻於二世、曰「馬也。」二世笑曰、「丞相誤邪。謂鹿為馬。」
問左右。左右或默、或言馬以阿順趙高、或言鹿。高因陰中諸言鹿者以法。後群臣皆畏高。
 
 宦官の趙高が、政治を簒奪しようと企んだが、群臣が従わないのに用心して、まず試してみることとした。
 
 二世皇帝胡亥に鹿を献上して「馬です」と言った。
 
 皇帝は笑って「丞相よ、間違っているよ。鹿を馬と言っている」と言った。
 
 そしてそこにいた家臣たちに聞いた。
 
 家臣らは、おし黙る者あり、中には趙高に阿って馬という者もいたが、鹿と言ったものもいた。
 
 趙高は鹿と言った者を法に引っ掛けてひそかに陥れた。
 
 その後、群臣は趙高を恐れしたがった。