“多くの方が、図書館は本を貸してくれるところ、本を貸すのが目的、と思っていらっしゃるかもしれませんが、図書館にとって本を貸し出すことは、本来、図書館がもっている機能と目的を果たすための手段の一つにすぎません。 公共図書館の唯一の目的は、「市民に対する知識と情報の提供」なんです。では、なぜ日本の公共図書館が「本を貸すところ」と捉えられてしまうのか。それは、大袈裟に言えば、日本の歴史が市民革命を経ていないからです。 市民革命によってヨーロッパの一般大衆は権利や財産を取り戻したと言われていますが、実は、取り戻したのはそれだけでなく、特権階級に占有されていた知識や情報までも奪い返したんです。それが、以後の市民社会を形成するうえでなくてはならないものになった。つまり、市民による知識や情報の共有化がなされたからこそ、近代的な市民社会が完成されたわけです。”
図書館は、なんのためにあるのか