19日に衆院法務委員会で可決された「共謀罪」の趣旨を含む組織的犯罪処罰法の改正について、特定の国の人権状況などを調査・監視・公表する国連特別報告者で、「プライバシー権」担当のジョセフ・カナタチ氏(マルタ大教授)が、「プライバシーや表現の自由を制約するおそれがある」として懸念を表明する書簡を安倍晋三首相あてに送った。18日付。書簡は「法案の成立を急いでいるために十分に公の議論がされておらず、人権に有害な影響を及ぼす危険性がある」と立法過程の問題にも言及している。
内容については、①法案の「計画」や「準備行為」が抽象的で恣意(しい)的な適用のおそれがある②対象となる犯罪が幅広く、テロや組織犯罪と無関係のものを含んでいる――などと指摘し、「どんな行為が処罰の対象となるのか不明確で、刑罰法規の明確性の原則に照らして問題がある」。「共謀罪を立証するためには監視を強めることが必要となるが、プライバシーを守るための適切な仕組みを設けることが想定されていない」などと懸念を示した。
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「共謀罪」の趣旨を含む組織的犯罪処罰法の改正について、人権に関する国連の担当者が懸念を表明する書簡を安倍晋三首相に送った問題で、民進党の蓮舫代表は21日、東京都内で記者団に「私たちが主張していることと同じ懸念だ。政府は、国連の勧告を重く受け止め、法案は廃案にすべきだ」と語った。
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国連特別報告者のジョセフ・カナタチ氏(マルタ大教授)が、「共謀罪」法案について「プライバシーや表現の自由を制約するおそれがある」との懸念を表明する書簡を安倍晋三首相あてに送ったことについて、菅義偉官房長官は22日午前の記者会見で、外務省を通じて国連に抗議したことを明かした。
菅氏は「特別報告者は国連の立場を反映するものではない。(日本)政府が直接説明する機会はなく、公開書簡の形で一方的に発出された。内容は明らかに不適切だ」と述べた。また、「国連で採択された(国際組織犯罪防止)条約締結のために必要な国内法整備だ」と強調した。
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外務省を通じて国連に抗議したことについて、ジョセフ・カナタチ氏は、「怒りの言葉があるだけで、中身は何もなかった」と、コメント。
外務省を通じて国連に抗議したことについて、ジョセフ・カナタチ氏は、「怒りの言葉があるだけで、中身は何もなかった」と、コメント。
条文を逐語的に検討する事が必要だったが、しなかった。