"注意を要するのは、今日、高次脳機能障害といわれているものが、世の中に2種類存在するということです。
一つは「学問的」高次脳機能障害で あり、もう一つは「行政的」高次脳機能障害です。「学問的」高次脳機能障害というのは、少し聞きなれない言葉かもしれませんが、失語、失認、失行などの症 状をおもな研究対象としており、私たち専門医の多くは、今でも高次脳機能障害=「学問的」高次脳機能障害と思っております。
一方、近年、高次脳機能障害 が深刻な社会問題としてテレビや新聞で大きく取り上げられるようになっておりますが、この場合の高次脳機能障害は厚生労働省による高次脳機能障害支援モデル事業によって平成18年に診断基準が作成された「行政的」高次脳機能障害のことを指しているようです。ここで、「行政的」高次脳機能障害とは「記憶障害」、「注意障害」、「遂行機能障害」、「社会的行動障害」の4つの症状を指します。"