日常生活でストレスは付きものだが、過度のストレスは心身の不調を招く恐れがある。「環境の変化もストレスの要因。早めのケアでブレーキをかけることが大切」と横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長の山本晴義医師は指摘する。
まず自分自身が「ストレスを感じている」と気づくことがケアの第一歩。身体、心理、行動面でどんなストレス反応が出るかには個人差がある。夫婦・親子関係、介護、失恋といった仕事以外のストレスも影響する。
山本さんにお薦めのストレス解消法を挙げてもらった。「平日のストレスを週末に解消しようと思っていると、結局解消できないまま憂鬱(ゆううつ)な月曜日を迎えてしまうことも。仕事の合間のストレッチや腹式呼吸など、日常生活の中ですぐできるストレス解消法をできるだけたくさん持ち、毎日実践するように心がける方がいい」と山本さん。
生活習慣もストレス反応に影響する。運動・労働・睡眠・休養・食事の五本柱が乱れると、ストレス反応を招きやすい。「例えば、運動習慣のない人はある人と比べ、疲れやすい、何をするにもおっくう、といった傾向があるとわかっている。エレベーターを使わずに階段を使うといったことから始めて、1日15分でも運動を心がけて」
ただ、不調を全てストレスのせいにするのは危険だ。「体の病気で症状が出ている場合もある。症状に応じて病院の受診を」と山本さん。悲しくなる、不安になる、気分が沈む、といった不調が2、3週間程度続くなら、うつ病などのリスクもある。心療内科や精神科などの専門家に相談するよう勧める。
職場の上司らによる対応もストレスのケアになる。特定社会保険労務士で産業カウンセラーの中辻めぐみさんによると、この時期ストレスを抱えやすいのは研修期間明けの新入社員や、昇進・転居を伴う異動などで環境が変わった人たち。「新入社員は『怖そうな先輩の指示がよくわからなかったけど、どう聞き直せばいいのか』といった対応ひとつにも悩む。ささいなことの積み重ねがストレスになり得る」という。「同僚や家族、友人に話して、とにかく1人で抱え込まないで」と助言する。
周囲は、遅刻・欠勤、ケアレスミス、酒量が増えたといった「いつもと違う」様子に気を配り、状況に応じて「どうしたの?」と声をかける。「問題を解決することも大事だが、『職場に自分のことを気にかけてくれる存在がいる』ということを知らせるだけでも意味がある」と中辻さん。話を聞く時は腰を折らずに共感して聞く姿勢が大切。そのためにも上司自身が自分のストレス反応に気づくように心がけたい。