ロボットが人間の能力を凌駕したときの世界

AIによってインターネット産業が進化したとき、人間の考え方や価値は変化するでしょうか。ロボットマンガにあるような、ロボットが人間の能力を凌駕したときの世界についても尋ねてみました。
「アタマの良さって、その基準値が変化していくと思うんですよ。昔は『あの人アタマがいいね。人の名前覚えている』『物知りだ』といったところで評価されていたんですが、最近だと頭の良さの定義に記憶力は入ってきていないんですよ。インターネットがあって、Wikipediaがあって、という状況ですから。モノを調べたらすぐにでてくる時代ですから」
確かに図書館に行って過去の文献を探す、ということをしなくなりました。今の若い人たちもそうなのでしょうか。
「で、ですよ。今は論理的に考えられる人のことをアタマがいいと言っています。でも論理的思考はAIが最も得意とする分野です」
こういう状況があってこういうデータがあって、どう判断しますかといった題が出されたとき、人間よりもAIのほうがすばやく、的確な判断を下せるんですね。
「今の教育でやってることはAIにとって代わられるかもしれない、すると。そこを頑張っても仕方がないのかなとも感じちゃう。AIと競わなくなったとき、さて人間の価値は何になるんだろうと。1つには、論理と感情の中間的な感性はしばらくのあいだ、AIがたどり着けない世界なので、その感覚、判断力が価値になるかもしれないですね」
となると、今後“人間”として生きてくためには、どんなことをしたらいいと思いますか?
「人間にとってこれから一番重要なスキルは何かと考えると、人に愛されることだと思うんですよね。AIができないところは思いやり、志、直感あたり。だからこれらを身につける教育が必要になってくると思いますね。まあこれから直感って、ひらめきってなんなのという議論が行われていくのでしょうけど」
なおAIに今までにヒットした曲のパターンを認識させ、作曲させると、ヒットする要素を含んだ曲を出力するそうです。
「過去のデータを元に洗練させていくのはAIが得意。秀才的なものは得意なんです。でも天才的なクリエイティブはAIだと無理。時代の先をいくようなものは難しい。現在評価されていないものに価値をつけるのが難しいんですね」
クリエイティブのほかにも、マネージメント、ホスタピリティの分野においてトップクラスのサービス提供はAIだと難しいとのこと。
「だから、人間力を高めるとしたら、そこの力をつけていくのが大事ではないでしょうか」
製造業の工場内がロボットばかりになったように、AIの技術は僕らの社会の土台にどんどんと入り込んでくるでしょう。2017年には有名シェフのレシピ&調理データをもった調理ロボットも発売される時代ですし。
だからこそ彼ら秀才に任せられるところは全部任せてしまい、人間は他人を思いやれるようになればいいのではと、湯川さんは語ってくれました。ありがとうございました!