それでも僕は、こんなふうに「文化人」、あまつさえ「ゴーマニスト」なんて呼ばれ、世間の間違った常識に異を唱え続けて、風穴をあけようとしてきた人までが「AKB礼賛」の新書を出していて、「AKBがやってみせた、メディアコントロール」について言及しようともしないことに、不安を感じるんですよ。
「たかがアイドルの話」ではあるし、この新書にも出てきますが、AKBは被災地に10億円もの寄付をして、いまでも定期的に訪問し続けています。
AKB=悪じゃない。
でも、AKBの手法は、「悪用」される可能性が十分にあります。
そもそも、電力会社がメディアコントロールをしてきた手法が、まさにこの「利益誘導」だったのですから。
「原発を批判すれば広告を出さないぞ」
「暴力的な圧力」ではなく、「利益を分配しないこと」で、(日本の)メディアは、コントロールできる。
この新書に出てくる4人の論客たちが、「こんな時代だから」ということで、「自分には責任がない、お金で買えるもの」を「推す」のが正しいというのは、時代を語る側の人間として、あまりに無責任ではないか、僕はそう感じています。
昭和の日本の人々は、「軍部推し」のつもりが、いつのまにか自分が徴兵され、戦地に送られてしまったのかもしれません。