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「正直庄作は、ちょっとバカなんだけど、スゴイ良いヤツで。でも、イケメンの奴らが、スゴイ嫌な奴らなの。たとえば、田んぼを耕すのを手伝って、全面耕して。それで、『お給料下さい』って言いにいくと、『お前の先祖に、ウチは米を三合貸している。その米を貸して、かなり経ってる。利子を考えたら、お前がそんな金をくれなんてことを言える立場じゃない』って言われるわけ。そうしたら、『ウチは貧乏だったから、親が借りてたと思う。だから、ごめんなさい。お金をくれなんて言って、ホント、ごめんなさい』って言って(笑)」
「それで、次の日に柴刈りで、スゴイ量の柴を拾ってくるワケ。働き者だから。それで、山を下りてきたときに、柴刈りに来た別の女性とすれ違うワケ。そうしたら、女の人が『それ、アタシのじゃない?前に、それは私が次の時に拾いに来ようと思って、置いてきたヤツだから。全部ね』なんて言って。そしたら、正直庄作は全然困った顔をしないで、『ゴメン!知らなかったから』なんて言うの。もう、ちょっと泣きそうでしょ?」
「その女の人は、綺麗なの。柴を持って来て、その女性とすれ違ったら、前のくだりで庄屋さんにヒドイ目に遭ってるから、その女性と恋に落ちると思うじゃん。そうしたら、『悪いと思う心があるんなら、ウチの前に置いておいて』なんて言うの」
さらに、以下のように語っていた。
「それで次に、鮎を釣ってたら、別のイケメンが『ちょっと待ってって。それ、俺んじゃん』って川で言うわけ。そしたら、またゴメンって言ってあげちゃうの。それで、その帰り道でお地蔵様の前で、『今まで、嫁が欲しいとか、寂しいとか言ってすみませんでした。僕みたいな、駄目な人間が、そんな高望みをして、お地蔵様の前でこんな話をして、お地蔵様は、さぞ辛かったろう。本当にごめんなさい』って言うの(笑)拝んですみませんって。凄くない?(笑)」
「ただ、ちょっと待って下さい。お地蔵様にそのことを言ったら、お地蔵様の裏から、狐が出てくるんです。それで、女の人が出てくるんなら分かるじゃん。女の人が出て来て、最終的に狐だったっていうストーリーは分かるじゃん。でも、狐が出てくる。それで、狐が女性に化けて、最終的に、狐のお嫁さんをもらうことになるの」
「いろんな狐が、狐の嫁入りをやって、庄作がお婿さんになるの。なんか分かんないんだけど、これはどういうことなんだろうか、と俺は考えて」
「たとえば、『俺は全然世の中でモテないから、もうアニメでいいや。ゲームでいいや』っていうのは、スゴイ分かるじゃん。そんな世の中の、自分の憧れてた人や、幸せそうな人も、嫌な人だった。それで、自分はモテるわけもないから、そっち側に目覚めて、それはそれで生きていくんだ…そういう話?って思って」
「そんな話ねぇだろって思うじゃん。そうしたらね、狐の嫁入りが終わったところで、実は庄作、道端でグーグー寝てるんです。それで、道を通りかかったイケメンたちのカップルに、『バカじゃないの?』って言われるの。それで、寝言で『狐の嫁さんもらった…』って言ってて、それで『うわっ、気持ちワルい』みたいな」
「それで、俺の中で『おいおい、時間が無いぞ』って(笑)大逆転がねぇぞって思ったら、『そうやってよりバカにされるようになりましたが、前ほどはイヤじゃなくなりました、とさ』だって。こんな悲しい話ありなん?(笑)」
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