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「私たちの体は大丈夫なのかしら……」
「私たちの体は大丈夫なのかしら……」
福島原発の放射能漏れ事故が大々的に報じられる中、スッチーたちが気をもんでいる。
原発の正門や建屋付近で検出された放射線量について、「胃のレントゲン1回分」「CTスキャンより低い」などとテレビで解説されているが、このとき必ず出 てくるのが「東京―ニューヨーク航空旅行(往復)」の数値。毎回これを見せられる国際線スッチーが恐れをなしているのだ。
20代スッチーが言う。
「私たち客室乗務員やパイロットは、いつも上空で仕事をしているため、宇宙から降り注ぐ放射線『宇宙線』にさらされています。東京―NY往復で200マイ クロシーベルト。胸のレントゲン4回分に相当します。原発周辺の年間目標値でさえ50マイクロシーベルトだから、かなりの数値ですよ。東京―NYや欧州路 線など長距離の乗務は月1~2回くらいしかありませんが、5回飛んだら一般の年間線量限度1ミリシーベルトを超えてしまうのです。それ以外にも、オースト ラリアや東南アジア、近距離のアジア路線もこなしているから、年間トータルにするとどれだけ被曝(ひばく)しているのか想像もできません」
文科省の放射線審議会が06年に出したガイドラインによると、航空乗務員の年間目標は5ミリシーベルト!「防護服を着て、放射線量を厳重に管理している原発作業員より危ないんじゃないか」(原発関係者)という声もある。別の30代のスッチーはこう話す。
「この数年、航空会社は熾烈な価格競争に突入し、乗務員の稼働率を上げています。1泊3日で北米路線を往復し、1日休んでアジアへフライトなんてケースもザラ。会社からは以前に宇宙線被曝について簡単な講習がありましたが何となく聞いていただけ。
今回の事故で放射線被曝の怖さを知った同僚は多いですよ。年間5ミリシーベルトでも一般の許容量の5倍ですが、本当にそれで済んでいるんでしょうか」
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