上から目線のプロ第三者 舛添氏調査“マムシの善三”の実績
2016年6月7日 日刊ゲンダイ
確かに目つきはやけに厳しかった。舛添都知事が「厳しい第三者の目」に選んだ元特捜検事の佐々木善三弁護士(63)。6日の会見では報道陣の質問に常に「上から目線」で対応し、「関係者は関係者ですよ!」「あなたは事実認定というものをご存じない!」などと、しばしば「逆ギレ」とも受け取れる答えを連発していた。
岩手県出身で、検事任官は中大卒後の1979年のこと。東京、大阪両地検の特捜部に長く在籍し、リクルート事件や住専事件などを手がけ、執拗な仕事ぶりで「マムシの善三」の異名を取った。東京地検特捜部の副部長時代には、鈴木宗男元衆院議員の汚職事件を指揮した。2012年に退官すると、猪瀬直樹前都知事の徳洲会からの現金5000万円受領事件で弁護を担当。刑事処分を略式起訴にとどめた。
「昨年、トヨタを揺るがせた米国人女性役員による麻薬密輸容疑での摘発事件でも経営陣のアドバイザー役を務め、古巣の動きを見透かしたように当初から『起訴の可能性は低い』とトヨタ側に断言していたと報じられました」(司法関係者)
過去にはプロ野球の統一球変更隠蔽問題を検証する第三者委員会の委員、さらに小渕優子元経産相の政治資金問題の第三者委の委員長を歴任。「小渕氏の関与なし」との結論をまとめ、問題は幕引きが図られた。
現在も、東電の福島原発事故の第三者検証委員会の委員を務める「第三者のプロ」。この日の質疑応答で「疑惑を抱えた本人から第三者に依頼するというのは、客観性は確保されるのか」と問われると、色をなして「第三者委員会とは基本的にそういうものです!」と反論したのも、プロの誇りの成せる業だろう。
ただ、あまりに高圧的な態度がネット上の反発を買っている。都民の怒りの炎にマムシが油を注いでしまった形だ。