先日アメリカで受けた研修の中で、とても印象的なビデオを観ました。
中学2年生の子どもたちの様子を撮影した、ドキュメンタリーです。
10代の子どもたちにとって「ピアプレッシャー(同質からの圧力)」は、本当に大きなものです。はねのけるには巨大なエネルギーが必要なる。それに直面するティーンズの様子を撮影したものでした。
実験はこんな風に進みます。
教室にいる二十数名の生徒たちは、3つの図形を見せられます。3つの選択肢の中にははっきりとわかる正解が一つあります。しかし、最初にサクラとして存在する数名の子どもたちが間違った答えを発表すると、他の生徒のなんと7割が、サクラの生徒と同じ答えを言ってしまうのです。違うということがわかっていても、です。
そこに、もう一人のサクラ生徒が出てきます。彼(彼女)は、誠実に、でもはっきりと「自分は違う」と発言します。3つの選択肢の中の正しい答えを示して「自分はこれだと思う」と発言するのです。
そのあとが面白い展開となります。
他の生徒たちにもう一度、「どれが答えだと思いますか?」と尋ねると、今度は次々と正しい答えを発言し始め、全体の9割の子どもたちがこれまでの意見を覆して正しい答えを出す結果になりました。
子どもたちにとってピアプレッシャーがどれほど大きいかということ示すビデオであると同時に、例え他の生徒と違っていたとしても自分の考えをはっきりと主張できる生徒が一人いれば、他の生徒たちも同じように自分の考えを伝えられるようになる、というビデオだったのです。
決して大声で居丈高に伝える必要もなく、正しさを証明するために説得調になる必要もなく、ただアサーティブに落ち着いて、「私はこう思います」と発言するだけ。性格がどうかという問題ではなく、自分の意見の伝え方は、学習することで身につく。その重要性を、改めてかいま見ることができました。