佐野研二郎氏が当選した旧五輪エンブレム審査委員で審査員を務めた平野敬子さんが自身のブログにて、4候補まで絞られたエンブレム案に違和感を覚えると指摘し、出来レースではないかと言及した。
平野敬子さんは一時、コネで繋がっている真っ黒な審査員の一員とみられていたが、その後、佐野研二郎案に唯一反対したメンバーと判明。また、ブログで内部告発を行ったため、その勇気ある行動が賞賛された。
コネと利権で繋がっていた大手広告代理店を敵に回すと今後は仕事にも支障があるかもしれないのに、平野敬子さんは審査の過程で不自然な動きがあったことを詳細に説明した。内部は想像以上に真っ黒で、審査員が佐野研二郎氏を当選させようとしていたことや、突然「審査の過程を口外しない」という誓約書を強要されそうになったと暴露した。
さて、4/9に平野敬子さんが公開した記事には審査委員がA案を当選させるよう誘導しているという指摘がなされていた。
その根拠は明らかにA案だけ異質だから。(1)A案だけ単色、(2)A案だけシンメトリー(線対称)、(3)A案だけ具体物ではない模様、(4)A案だけ日本の伝統を表現したコンセプト(他は選手の自己ベストに焦点を当てたコンセプト)。言われてみればその通りで、プロのデザイナーが見ればその異質性は一発で見ぬくことができるレベルのものだという。
さらに、デザイン界の厳正な審査では作品にランダムに記号をつけて公平性を保つようにするのに、「A、B、C、D」とつけたのではAが有利になると言及した。この他にも、ある程度共通の知識を持つデザインの専門家の間ではB、C、D案はあまり洗練されたいいデザインだとは言えず、自ずとA案が選ばれることになる。
これらの根拠から審査委員がA案をつくった人物と裏で繋がっており、当選の見返りにキックバックを貰うのではないかと疑うことができる。
事実、佐野研二郎氏のときは裏の繋がりが盛大にばれ、過去のコンペでもコネを使いまくっていたことが明らかになった。
当選した五輪エンブレムはグッズにロゴが入る度に権利収入が入るので、売上次第では100億円規模にもなると言われている。利権に目が眩んで出来レースに手を染める理由は十分にあるのだ。
またこの不自然な事実に合わせて、4候補のうち1つは謎の「敗者復活作品」だったということが分かった。もちろん、もともとはそんな審査ルールではなかったはずだ。
組織委は事前公表で、審査の透明性をアピールする狙いだが、いったん落選した作品を“敗者復活”させるという、これまでの説明にはなかった対応をしていたことを突如、公表し、審査に新たな不透明感を残した。
組織委によると、4作品のうち、エンブレム委が当初、最終候補に選んだのは1作品のみで、残りはあらかじめ選ばれていた「次点」から2作品と、いったんは落選した作品から1作品を「敗者復活」させた。商標調査の結果、類似する図案がすでに登録されていることが発覚し、「すべて落ちてしまうのではないかと危機感があった」(組織委)ためという。
五輪組織委員会はいくつかあげた候補のうち商標権で引っかかるものが消えてしまい、補充する意味で1つだけ敗者復活を決めたという。もっともその場合は残った3つから選ぶのがルールだったはずなのに、どうして勝手なことをしているのか。なお、各エンブレムの制作者は非公開になっており、一応審査メンバーも知らないはずだが、佐野研二郎氏のときは一部の審査メンバーが事前に知っていた。今回も同じ手口なのではないかと疑ってしまう。
今回の選考について、平野敬子さんは「A案ありきの審査」と糾弾している。