“ 山に登るとき、プロの登山家のガイドには絶対に従います。
ヒマラヤやアルプスでなくとも、どんなに低い山でも、危険はあります。
私たちが、「まだ行けるよ」と思っていても、引き返さなくてはならないときもあります。
逆に「ダメだ」と思っても、「いや、行ける」とプロが判断されるときもあります。
それは両方ともほとんど的確です。
そして、山の場合は、従わなければ単なる失敗ではすまされない。
命に関わるのです。
最近は登山ブームもあり、アルバイトでアマチュア的な登山ガイドさんがいらっしゃるらしいですが、私が申し上げるのはプロとしての登山家であるガイドさんのことです。
アマチュアでも、登山パーティの中では、経験豊富な方もいらして、ガイドさんの指示に口答えする方もいるそうです。例えば、一度モンブランを登ったりする経験をもたれれば自信もつきますが、それもガイドさんあっての登頂ではなかったでしょうか?
その世界では一度このプロに従うと決めたなら、それは絶対であると私は考えます。
なぜか。
それは、プロにしか見えない世界があるからです。
最近、プロの声楽家で指揮者の先生とお話する機会がありました。
「プロとアマチュア、これは残念ながら同じ景色を見ることは難しい。プロにしか見えない世界というのがある。だから、もしプロとアマチュアが一緒に何かを創りあげようとするならば、プロ自身がどこかで折り合いをつけていかなければならない。折り合いをつけるのは大変なことだよ。これは本当に難しい問題だね。」
とおっしゃってくださり、登山のことを思い出し、妙に納得した経験があります。
それではどのようにしたら、良い物を創り上げることができるのか、良い結果を導き出すことができるのか?
「フラガール」という、常磐ハワイアンセンター(スパリゾートハワイアンズ)の立ち上げを舞台にした映画があります。
炭鉱の町に、女性たちにタヒチアンダンスを教えるために、都会から松雪泰子さん演じるプロのダンサーがやってきます。
この松雪さんの演技が本当に素晴らしい。
映画の中で、ぜひ教えてもらいたいというド素人の炭鉱娘たちに対して、条件を言うシーンがあります。
「私の言うことをすべて聞くこと。言われたとおりになんでもやる。いちいち質問しない。口答えも一切なし。あと、どんなに辛くても絶対に泣かない。これが守れるんだったら教えてもいいけど。」
これは、私がピアノを習う前に先生に言われたお言葉とほぼ同じでした。それは感情で言っているのではありません。
アマチュアがプロに師事しようと思ったら。ますは師事しようという心得を整えること。
プロはプロとしての立場を立場を明確にすること。
そこから決してブレないこと。
もしシンプルに言うならそれだけかと思います。
伝える側と学ぶ側の共同作品。それができればきっと素晴らしいものがやってくるでしょう。”
アマチュアとプロの違いとは何か