プロトンポンプ阻害薬(PPI)と認知症の関連

 米国消化器学会(AGA)は2月18日、プロトンポンプ阻害薬(PPI)と認知症の関連について、医師が患者と話す際に役立つ助言を同学会ホームページで紹介した。PPIの長期使用と認知機能低下の関連性を示したドイツの研究が掲載されたことを受けての対応で、研究の解釈を基に、PPIを処方する医師が患者に説明する際の注意事項をまとめている。
 AGAは同研究の解釈として、「保険請求データに基づいて、PPI使用と認知症の統計学的関連を示したもので、両者の因果関係を示したものではない」と説明。PPIを避けることで認知症の発症予防につながるかを明らかにするには、さらなる研究が必要だと指摘している。
 またAGAは臨床医に対して、PPIが酸関連疾患の治療に有用で、PPIが長期的に使われる疾患は限られており、ほとんどの疾患において長期的に使用されることはないと改めて強調している。
 AGAが提示した患者と話す際の助言は下記の通り。
【PPIと認知症について患者に話す方法】
最小限の用量で適切な期間の処方であることを明確に伝えることで、患者の不安を軽減させる。
PPIが適応になるのは利益がリスクを上回る場合だということを、患者によく説明する。
患者と対話する機会を常に持つ。PPIの長期服用が必要な患者が、医師と服用を中止するリスクとメリットを話しあわずに服用を中止することがないようにする。
PPIを長期使用しなくてもいいように生活習慣を改善するよう患者に勧める。生活習慣がGERDに影響することはClinical Gastroenterology and Hepatology誌に掲載された研究Lifestyle Intervention in Gastroesophageal Reflux Diseaseでも結論づけられている。