梅毒患者の増加を受け、日本性感染症学会は医療関連の学会に対し、注意喚起を呼び掛ける文書を出した。女性患者の増加や胎児が感染する「先天梅毒」の症例が近年見られるようになったことを挙げ、「適切な診断により早期治療を施し、完治させることが重要」としている。
国立感染症研究所などによると、昨年の梅毒患者の報告数は前年比1.6倍の2698例を記録し、感染症発生動向調査事業が始まった1999年以降で最多となった。先天梅毒の患者報告数も前年比1.3倍の13例となっている。
今年の梅毒患者の報告数(3月30日時点)も昨年同期に比べて2倍の796例となっている。都道府県別では東京(350例)が最も多く、以下は大阪(100例)、神奈川(44例)、愛知(37例)、埼玉(29例)などの順だった。
日本性感染症学会は、若年女性の昨年の報告数が2010年と比べて約5倍となっていることや、米国で女性の罹患増に伴って先天梅毒の増加傾向が報告されていることなどを説明。「今後も先天梅毒を含む梅毒全体の増加が続く恐れがあり、早い段階での対応が必要」としている。
また、梅毒の症状は多様で病期によっても異なることから、患者が幅広い診療科を受診する可能性を指摘。血清反応で感染が見つかる「無症候性梅毒」も増加していることにも触れ、適切な診断で早期治療を行うことが感染拡大の防止につながるとしている。
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梅毒は脳症のモデルとして、理論的にも重要です
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