” 俺の最初の映画『ロジャー&ミー』では、生活保護を受けている白人の女が、 棒でウサギを殴り殺す。・・・「肉」として売るためだ。 この10年の間、俺はしょっちゅう、「かわいそうな子ウサギちゃん」が頭を殴られるシーンが 「恐ろしく」「ショックだった」と言われ続けてきた。 本当に吐き気がしたと言われた・・・なぜあんなシーンを入れたのかとしょっちゅう聞かれた。 アメリカ映画協会(MPAA)は、このシーンがあったために、『ロジャー&ミー』をR指定にした。 手紙をくれた教師たちは、この映画を生徒に見せる際に問題にな

"
俺の最初の映画『ロジャー&ミー』では、生活保護を受けている白人の女が、
棒でウサギを殴り殺す。・・・「肉」として売るためだ。
この10年の間、俺はしょっちゅう、「かわいそうな子ウサギちゃん」が頭を殴られるシーンが
「恐ろしく」「ショックだった」と言われ続けてきた。
本当に吐き気がしたと言われた・・・なぜあんなシーンを入れたのかとしょっちゅう聞かれた。
アメリカ映画協会(MPAA)は、このシーンがあったために、『ロジャー&ミー』をR指定にした。
手紙をくれた教師たちは、この映画を生徒に見せる際に問題にならないように、このシーンを削除したという。
だけど俺は、このウサギ殺しのシーンのわずか2分後に、
フリントの警官がスーパーマンのマントを着ておもちゃの銃を持った黒人を射殺するシーンを入れておいた。
だがこれまで一度もー本当に、ただの一度だって
「映画の中に黒人が射殺されるシーンを入れるだなんて信じられない!何て恐ろしい!吐き気がする!何週間も寝られなかったじゃないか」など言われたことはない。
なぜなら、彼はただの黒人であり、抱きしめたくなるようなかわいいウサギちゃんじゃないからだ。
黒人が射殺されるのは、ひどいことでも何でもない(少なくとも、MPAAの倫理委員とやらの中に、このシーンに文句をつけた奴はひとりもいなかった)。
『アホでマヌケなアメリカ白人』マイケル・ムーア著