スーパーでは精肉・鮮魚をラベルの貼り替えで賞味期限を延ばし、それでも売れ残ったら惣菜用に使うことが暗黙のルールと化しているところもあるという。
中堅スーパーのエリア長は、「ほぼ全店でお惣菜に賞味期限切れの精肉・鮮魚を使用。でも、惣菜担当者も店長も罪の意識はゼロ。何が悪いのか全然わからず、なかなか理解してもらえない」と嘆く。
なかには確信犯的に食品廃棄物を売っている者もいる。
「『儲けが出るゴミなら売れ!』との考えは産廃業者だけでなく、小売りの卸業者全体に根付いている。腐ってさえいなければ売って当然。結局、食の安全と言いつつも、問題は一瞬で忘れ去られる。こうした横流しが減らないのは市場が確立しているから。需要も供給も増えているくらい」(食肉卸業者)
「規格に不備があった真空パック詰めの練り物の処分を頼まれたことがあった。ただ賞味期限内だったので、焼却処分せず、引き取ってくる卸業者に運んだこともありましたね」(某産廃業者)
ダイコーはもちろん、報道陣に「違法性があるとは全然思っていない」と開き直ったみのりフーズの社長もまさにこのタイプ。「きっと『ほかもやっている。自分たちだけではない』との思いが強いのでしょう」と指摘するのは産廃業者の裏事情に詳しい山田文大氏だ。
「食品廃棄物をめぐっては、産廃業者→食品問屋→小売店という流通ルートが全国各地に存在します。でも、壱番屋のような全国チェーンの食品が出回るのは稀。通常は小さな食品工場から出たものが産廃業者や食品問屋を経由して、地元の激安スーパーや激安飲食店、お祭りの出店などに卸されます」
事実、産廃業者の現役社員は自身の関与を否定しつつも「食品廃棄物が大量にあるときは、必ずといっていいほどどこかの業者のトラックで引き取りに来ます。しかも、人に見られたらマズいのか時間帯も早朝や夜などが多い」と生々しい横流しの実態を暴露。
農作物でも流通している食品廃棄物
ほかにも収穫量が多すぎる農作物が値崩れ防止の出荷調整で廃棄となる場合があり、対象となった野菜や果物を引き取るケースもあるという。
「農家にとっては農協の手前、廃棄が決定しても農作物を捨てるのは忍び難いですし、安くても買い取ってくれるならそうしたい。けど、農協にバレるとマズいので産廃業者を使うわけです。処分料こそ負担しますが、結局、食品問屋からキックバックがある仕組みになっています」(元産廃業者社員)
問題なのは単に食品廃棄物が数多く流通しているという状況だけではない。
「社会には低収入で、ありえないほど安い食品でも当たり前のように食べ続けている層が一定数いる。食中毒のように目に見える健康被害が出たわけでもないから食べる側だけでなく、売る側も何ら疑問を持っていない。きっと横流しをする業者の人も家では『食べ物は大事にしろよ』とか言っていると思うんです。そういう生活が一般的に根付く社会になっていることが、そもそもの問題のような気がします」(山田氏)
食品業界の闇はまだまだ広がっている。