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ドアーズというロックバンドが歌った「People Are Strange」という歌に、こんな一節がある。
People are strange when you’re a stranger
Faces look ugly when you’re alone
「よそ者にとって、人はよそよそしい」
「君が孤独な時、人々の顔は醜い」
これは、孤独についての歌であると同時に、同調についての歌でもある。
要するに、われわれは、毎日見ている顔を美しいと思うように条件付けられているということだ。
私が通った地元の区立中学は、近隣の3つの小学校の生徒を総合する形で生徒を集めていた。
中学に上がってすぐの頃、私は、他の2つの小学校から来た生徒たちの顔が、そろいもそろって不細工であることに驚愕した。
が、それは、後になって錯覚であったことがわかる。
ひと月もすると、見慣れぬ顔の中にいくつか美しい顔を発見するようになる。
というよりも、子供だった私は、未知の人間を恐れていたのだ。
私がAKBのお嬢さんたちをさして美しいと思っていないのは、滅多にテレビを見なくなっているからだ。
液晶画面の中に住んでいる芸能人は、「去る者は日々に疎し」という諺を逆転した原則でその容姿を整えて行く。つまり、見慣れた顔は、次第に美しく見えるようになるということで、結局、圧倒的な露出度は、視聴者を説得してしまうということだ。
で、いつしか、私は自分の推しメンを発見しているのだろう。
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それは慣れである。そうではない感性を持ち続けたいものだと思う。