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柳沢校長(開成中学校) 学校で教えられないのは生活力です。よく保護者の方にお願いするのは、開成高校を卒業したら「1カ月子どもを放って置いても、ゴミ屋敷にならない、飢え死にしない、そういう子どもに育ててください」とお願いしています。それは学校ではできないのです。
具体的に生活力は何かというと、有限なものをうまく使うことです。まずは時間です。24時間しか我々は持っていない。それをいかにうまく使うか、家庭の中でもそういうことを意識してほしい。それとお金ですね。お金は無限に持っている人はおそらくいない。それをいかに有効に使うか。有限なものを有効に使う。
それと、日常は繰り返しているんです。炊事、洗濯、掃除、衛生。これをいかに手際よくやるか。これにどんどん時間を使っていたら、他のことができないわけです。それはぜひとも高校を卒業するまでに身につけてほしい。そうでなければ、その子どもの選択の幅が狭まるわけです。
例えば「海外に行きたい」といっても、お母さんはついていけません。海外へ行ったら、子どもが一人で生活ができなければならない。生活力を付けるということは、すごく忍耐のいることです。子どもがリンゴの皮をむくのは危なっかしくて見てられない。だけど、手を1回切れば2度は切らないんです。指は落ちないような注意さえ払っていれば、手を切って、痛い思いをしてできるようになる。ずっと見守る、手は出さない、口は出さない、そういう開成の教員がやっているようなことを、家庭でもぜひともお願いしたいとお話して、不足している力をつけて頂きたいとお願いしております。
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御三家校長が語る、今の男子に欠けていること