百億の星と千億の生命

多くの人達から『死後の世界を確認しないでどうして死と向き合うことができるのですか』と尋ねられたが、『別に問題ではなかった』としか答えようがない。
「弱い心」については保留するが、私は尊敬するアルバート・アインシュタインを同じ考えを持っている。
 私は自分の創り出したものを褒めたり罰したりする神や、我々自身と同じような意志を持つ神を想像することはできない。
 人間が肉体的な死後も生き残るということも信じられないし、また信じようとも思わない。
 弱い心の人達は、恐れや不条理なわがままからくる、そういう思想を抱いているがよい。
 私は、生命が絶えることなく伝わって行く神秘にふれたり、
 この世界の驚くべき構造を垣間見たり、
 自然の中に現れる真理の一端を、それがどんなに小さくとも、
 理解しようと一心に努力することだけで満足だ
『百億の星と千億の生命』  カール・セーガン