“最上の目玉焼きにおけるポイントは2つです。
1. 油をたっぷり引くこと。
2. とろ火で気長に焼くこと。
たっぷりの油というのは、焼き上がったあとオイルポットに戻すくらいの量です。フライパンもあらかじめ温めておく必要はありません。フライパンを取り出したら「いちばんちいさな火」にかけ、油をたっぷり引き、冷蔵庫から出した卵をぽとんと落とす、それでおしまいです。その上に胡椒と塩をてきとうにふりかけておきます。とにかくゆっくり焼くことが肝心なので、熱が回りやすくなるふたはしないでおきましょう。じぶんの好みまで黄身が固まればできあがりです。
え、ふつうじゃね?
とおもいますね?でもふつうは油をそんなに引きません。それに中火でわりと手早く焼いてしまうはずです。
ところが「たっぷりの油」と「初めから最後までひたすら弱火」をきちんと守ると、得られる結果がぜんぜん変わってきます。いちばんはっきりとちがいが出るのは、白身です。白身は熱しすぎると端からキツネ色にパリパリとゴム化してきますが、まずこれが全然ありません。端っこまでずっとまっ白なままです。だからなのかどうか、焼き上がっても白身はふわりとやわらかく、舌ざわりもいたいけなほどぷるんとしています。じっさい、最上の目玉焼きにおいてむしろ黄身は脇役になると言っても過言ではありません。それくらい、今まで知らずにいた白身本来の魅力に目をみはるはずです。
せっかくなのでアレンジも加えてみましょう。用意するのは一切れのベーコンと葱を1/3本です。どちらもこまかく刻んでください。これを卵の下に敷いて同じようにじわじわ焼きます。それだけです。葱は油で熱して「葱油」をつくるくらい香りの豊かな野菜だし、ベーコンの脂にはもちろんこってりとした味わいがあるから、相乗効果でえも言われぬおいしさになります。
さらにゴハンを用意しましょう。ゴハンにしょうゆをちょいちょいとふりかけて、もみ海苔かアオサをばらばらと撒き、その上に先の目玉焼きを乗せます。黄身をつぶして、よく混ぜながらいただきましょう。うそいつわりなく、これだけで店が出せるくらいの美味さです。
ためしてみてね。”