悩んでいてもしょうがない

生きている間はなるべく元気に、楽しく暮らしたいと思っているわけ。悩んでいてもしょうがないのでね。だけど、そのために、よく誤解をされるんだよね、「やなせさんは元気だ」って。元気じゃないんだよ、ほんとは。
 なるべく僕は、物事を前向きに考えるようにしているの。倒れるんなら、前のめりに倒れようと思っているくらいでね。同じ倒れるんでも、そういうふうに考える。
 病院へ行ったら、きれいなナースさんはいるかなあ……とまず探して、あの人ならいいなあとか、そういうふうに思えば、病院へ行くのも楽しい。まあ現実は、そういうナースさんにばかり当たるとは限らないけど。
 物事は後ろ向きに、いくら考えてもしょうがない。というか、そういうふうに思うようにしているわけ。嫌なことは、考えないようにしているの。考えたってムダですからね。やっぱり悪いほうへ悪いほうへ、考えてしまいがちでしょ。だから、無理に考えないようにするんだ。すると、なんらかの状況は変わってくるもんですよ。
血圧が高いとか、不整脈があると、何かいろいろなことを考えちゃう。夜寝て、明日の朝、目が覚めなかったらどうしようかとか。つい悪いほうへとね。だからあえて、考えないようにしているの。
やなせたかし 何のために生まれてきたの?