高次脳機能障害の予防

人の立場に立ってみる、自分の歴史と現在を相対化して、
もし自分が現在の境遇ではなくて、他者の境遇だったとしたら、
と考えることが出来るというのは、
人間としてはとても普通のことで、
文学で言う感情移入とか、擬人化表現とか、
そういう脳の機能を利用しているのだと思う
「山が怒っている」とか
だから山をなだめるためには何か山が喜ぶようなものを捧げ物にしようとか考えることになる

山がこう感じているに違いない、これが不満で、こうすればなだめられるに違いないと考える
ましてや相手が人間の場合には、気持ちや思考を必死に推定する
しかし推定と言っても、とりあえず自分の心を基準にして考えるしかない
数多くの人の思考や感情を知っている人ならば、平均的な傾向として考えることも出来るが、
そうでもない場合は、自分と周囲の人たちの平均を基準として、他者を解釈することになる

脳血管障害とか神経細胞の萎縮などで高次機能部分が失われると
高次脳機能障害と呼ばれることがあり
いろいろな面で障害は出たり出なかったりするのだが、
他人の立場に立つ、立場を変換する、比喩を用いる、など、いつも行っていることができなくなる
自分を客観的に見ることなど特に苦手になる場合もある

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人間は所詮他者になることなどないのだから
もし他者の立場に立ったならなどというのは想像の世界のことで
「私は違うから、知らない」と遮断してしまうことも出来る

後光が差してまぶしいほど他者の立場を思いやる必要もないが
必要なときには他者の立場に立つことも出来るという程度に
頭の体操をして準備しておくことはいいことだし
高次脳機能障害の予防にもなるだろう

他者がいま思っていることは何か、それはなぜか、では、どうすればよいか、考える
当たり前なんだけど、トレーニングが必要な場合がある