教育現場の事実

では、本当の「底辺」層とはどんな子供たちなのでしょう。「問題児専門」の講師として塾などで教えていた経験からお話します。
まず、基本的に「学校の勉強」つまり数学や英語や理科や社会の知識は「ゼロ」だと考えて下さい。そのほとんどが小学校低学年レベルで止まっています。足し算・引き算・かけ算・割り算などの四則演算ができない子供も珍しくありません。
それどころか、いわゆる「常識」が欠落している子が大量にいます。
例えば僕の生徒には
「植物が育つには水が必要」
という知識を知らない子供がいました。高校生の話です。「干ばつによって凶作が起きた」という内容の文章(小4の問題)が全く理解できていない様子だったので、「どこから理解できていないのか?」を詳しく調べた結果、上の知識が欠落していることが判明しました。
驚かれる方も多いと思いますが、特に知能に問題を抱えているわけではありません。現に僕が担当した後はみるみる成績が伸び、1年半ほどで高校レベルの単元についていけるようになりました。単に「知らなかった」「知ろうとしなかった」だけなのです。
他にも「税金」や「法律」などの基礎的な社会科の知識が欠落している子供もいましたし、四文字熟語はおろか簡単な熟語(たとえば「音読」や「用心」など)が読めない、意味がわからないという子供もいました。
また「ペンを持って字を書く」という行為をほとんど全くしたことがない子が多いので、指の筋肉が弱く、字を書いたり計算をしたりするとすぐ指が疲れてしまう子がほとんどでした。
「ドラゴン桜」では「1日16時間勉強合宿」というのを1日目に行うのですが、本当の「底辺」の子供たちにはとても無理でしょう。集中力・やる気以前に、まず筋力的に不可能だからです。
これが今の日本の教育現場の事実です。こういった子供は特別な「例外」ではなく今や普通に存在します。