緊急脱出

事故発生時、機長は管制に「ベイル・アウト(緊急脱出)」と告げていた。
ところが、2名のパイロットは緊急脱出せず機内に留まり、狭山市街地への墜落を回避するための必死の操縦が行われていたとみられる。
「ベイル・アウト(緊急脱出)」告げた時の高度は高度360mで、ぎりぎりパラシュートが開く高さだった。
実は、2名のパイロットはベテランで、そんなことは十分承知していた。
機体が河川敷に向かったことを確認したのは「ベイル・アウト(緊急脱出)」宣言の13秒後であった。
この時、地上との距離は70m、機長は再び「ベイル・アウト」を宣言して2名のパイロットは脱出するが、当然にパラシュートは十分に開かず2名とも地面に叩きつけられ死亡した。
彼らは覚悟の死であった。
2名のパイロットは助からないのに、なぜわざわざ脱出装置を作動させたのか。
その答えをあるマスコミのインタビューに自衛官が答えている。
彼は「駄目だと分かっていても、最後の瞬間にわずかでも時間があれば、脱出装置は作動させます。
そうしないと、脱出装置を整備した整備員に、要らぬ心配をかけますから」と述べている。