「現在の政権は、日本が再び戦争をするための体制を整えつつある」という文言を削除 放送大学を辞任 自粛の空気

客員教授の問題文「公平性欠く」 放送大学が一部削除
「現在の政権は、日本が再び戦争をするための体制を整えつつある」という文言が気に入らないらしい。
2015-10月20日
放送大学の客員教授が、単位認定試験の問題文に「現在の政権は、日本が再び戦争をするための体制を整えつつある」などと記し、大学側が「公平性を欠き不適切だ」などとして、その後、学内のオンライン上に試験問題を公開する際に文章を一部削除していたことが分かりました。
出題をしたのは、テレビなどを通じて大学の教育課程を学ぶ「放送大学」で日本美術史の講義を担当する佐藤康宏客員教授です。
佐藤客員教授は、ことし7月に行われた日本美術史の単位認定試験で、戦前・戦時中に国に弾圧されたり軍に協力したりした画家に関する問題文の冒頭に、「現在の政権は、日本が再び戦争をするための体制を整えつつある」などと記しました。
これについて放送大学は、放送法に照らして「公平性を欠き不適切だ」などとして、その後、学内のオンライン上に試験問題を公開する際に文章の一部を削除しました。
大学側の措置に対して佐藤客員教授は「みずからの著作物である試験問題の一部を同意を得ずに削除されたことは遺憾だ」として今年度限りで辞任すると申し出て、大学側も了承しました。その結果、平成31年度まで担当することになっていた日本美術史の講義も今年度かぎりで終了することになりました。
佐藤客員教授は「学生には戦前・戦中の美術について自分自身のことに引き付けて考えてほしくて文章を入れた。大学側の対応は、批判が来ることをおそれた過剰防衛ではないか」と話しています。
一方、放送大学は「意見が対立する問題について一方的な見解を伝えるのは、放送法上不適切だと判断しただけで、政権批判をしたから削除したわけではない」としています。