「毒親」をご存じだろうか。近頃、あちこちで話題にされることが増えてきた言葉である。字の通り、子供の毒になる親のことである。様々な形での親からの支配を受け、呪縛に苦しむ子供たちが自己を肯定するために「自らの親は毒である」ということを言葉にしはじめた。『毒になる親』(著・スーザン・フォワード)という本が広く読まれ、現在、様々な媒体で「毒親」について語られ、関連書籍も多く見かけるようになった。
「自分を産んでくれた親だから」「血のつながった肉親だから」「親に育ててもらったのだから」――そんな言葉に縛られ支配から抜け出せず苦しみ続ける者は多い。そして親と距離を置いてもなお、我が身には親の支配故の欠乏が潜んで人間関係に支障をきたす。