チャイナ・シンドローム
メルトスルー以降の状態を「チャイナ・シンドローム」と呼ぶこともある。これは1960年代に米原子力委員会の委託を受けメルトスルーにより想定される事態を検証した研究者・技術者らが、溶融燃料が基部のコンクリートを貫き地中へと落下を続ける事態を表すために用い始めた言葉で[10]、1979年にアメリカ合衆国で公開された同名の映画によって広く知られるところとなった。アメリカ合衆国で融け落ちた燃料が、溶融を止める手立てのないまま地面を溶かしながら沈んでゆき、そのまま地球の中心を通り越して反対側の中国まで突き抜けてしまうという意味のブラックジョークであるが、地理上はアメリカ合衆国の対蹠地は中国ではなく、また現実には溶けた核燃料が地球を貫通するようなことは起こり得ない[11]。あくまで炉心溶融による被害の深刻さを大げさに誇張した表現である[11]。
民間原子力施設で起きた炉心溶融事故には以下のものがある。
1966年 フェルミ1号炉事故(アメリカ合衆国)
1969年 リュサン原子力発電所事故(スイス)
1979年 スリーマイル島原子力発電所事故(アメリカ合衆国)[8]
1986年 チェルノブイリ原子力発電所事故(ソビエト連邦、現・ウクライナ)
2011年 福島第一原子力発電所事故(日本)
メルトスルーして巨大な熱の塊が地下深くに突き進み、地球のマントル対流に乗るのか、あるいはさらに独力で突き進み地球の中心部のOuter coreやInner coreのでいたって吸収されるのか
そのように一塊のものとして行動するのか、あるいは、分散してゆくものなのか。
たぶん、周辺部は中心部よりも冷却されるだろうから、中心部は巨大な熱の塊として地下深くに進行すると仮定しても、周辺部分は残されて、通過した通路は、くっきりと放射性物質の性質を示すのだろう。
逆に、中心部の強大な熱の塊が重力に逆らって上方向に動くことはあるのだろうか。周囲の物質との比重差によるのだろうが、巨大な水の塊と出会ったとすれば、水は沸騰を続けて巨大な熱の塊を上方に押し上げることになるかもしれない。