たとえば有名なレストランAのエンブレムと似ている紛らわしいエンブレムをBが使用して、 あたかも姉妹店であるかのような演出をしたと同じような結果になって、 Aが損をしてBが利益を上げたとしたら それはBからAにお金の一分を支払うべきだという理屈は生じると思う しかし美術館に行こうと思って、ロゴが似ていたのでうっかり東京オリンピックに行ってしまって、 お金を支払った、その結果として、美術館が損をしたというケースは起こりそうもない 極端な話、全く同じマークを使っていても、全く紛らわしくはないのである

"東京オリンピックエンブレム問題は
法律が保護すべきオリジナリティとは何かと考えてみれば
難問である

一般人が見て似ていると思っても専門家から見れば違うというのは
似ているが客観的にはっきり区別できるということがひとつ
もう一つは背後にあるコンセプトの問題で
スポーツの躍動感を表現するためになにとか、日本を象徴するために心臓の位置に日の丸とか、
過去の東京オリンピックエンブレムの大きな日の丸がどうとか、
(語られているコンセプトがあまりにもアホなので拍子抜けして苦笑するしかないが)
そのコンセプトの違いがあれば、一般人が似ていると素朴に思うものも、全く違って見えると言う、
「すごい理論」である

では聞きたいのであるが、どこかの美術館のロゴと東京オリンピックのロゴが似ているという問題だとして
コンセプトがぜんぜん違うのに似ているというのは
原則から言っておかしいのではないか?

かたや美術の何かがコンセプトにあるのだろうし
かたやオリンピック精神がコンセプトにあるのだろう
その二つがどうして似てしまうのだろうか
それはありえないでしょう
つまり「こじつけ」ということですよね

あの程度のデザインを真似だとか真似ではないと言ってみても、
誰でも描きそうなものだから立証もできないですね
児戯に類する

ーーー
それはそうとして、もう一つの論点は、
紛らわしいゆえに、経済的不利益が生じるかどうか、
経済的不利益が生じたら、それを償うべきだという理屈はあると思う

たとえば有名なレストランAのエンブレムと似ている紛らわしいエンブレムをBが使用して、
あたかも姉妹店であるかのような演出をしたと同じような結果になって、
Aが損をしてBが利益を上げたとしたら
それはBからAにお金の一分を支払うべきだという理屈は生じると思う

しかし美術館に行こうと思って、ロゴが似ていたのでうっかり東京オリンピックに行ってしまって、
お金を支払った、その結果として、美術館が損をしたというケースは起こりそうもない

東京オリンピックに行こうとしてヨーロッパのどこかの美術館に行ってしまったというケースも起こりそうにない

極端な話、全く同じマークを使っていても、全く紛らわしくはないのである

その場合は、法律的な保護をあらかじめ届け出ていたかどうかだけが問題になるだろう
意匠登録とかそんな話

そこを狙って、自分では使わない名前を大量に登録して特許をとっておく人がいるでしょう
新しい薬の名前はそれで苦労するのだと聞いたことがある
登録があるとそれは使えないか、お金を払って買うかのどちらかになる
買ってくれれば、登録していた人は大儲けである
しかし最近はオリジナルの名前はやめて、一般物質名+会社名で統一しようということで、
大変スッキリした
デタラメに好きな名前をつけていた時には、全く別の分野の薬や、薬効の違う薬が、
一字違いの紛らわしい名前になっていたりして、総合病院などでは問題になっていた

ーーーーー
今回の東京オリンピックエンブレムデタラメ事件で面白かったのは
武藤氏が登場してからだった
当選した東京オリンピックエンブレムとどこかの美術館のロゴマークが似ているというので
剽窃したのではないことを証明するために、
最初の応募案、それを事務局が「躍動感が足りない」と言って手直しさせた第二案、
さらに、それだと類似物があるので、さらに手直しさせた第三案が示され、
この第三案が公式エンブレムとして発表されたものであった。

この武藤氏の説明には一同が腹を抱えて笑った。
第三案の背景にあるコンセプトはこうこうでと佐野氏の御大層な説明があり、
変だなあ、お笑いだと我々は思っていた
恥ずかしい話だとも思った

ところが応募案には、説明されたコンセプトの要素がないのである
なーんだ、コンセプトというのは第三案についてのこじつけ説明だったんだと笑った
(我々は利益関係者でもないし、新国立競技場の一件で呆れていたので、
もう怒る気分ではなく、あー、またやっちゃったな、と思っただけだった)

そして、当選作にするために二回も手直しの機会を与えられていたという事実
佐野くんに当選してもらおうと誰かが親切をしたものと思われる
しかしどこにこんなコンテストがあるものだろうか
他の応募者はこれで怒ることもないのかな
みんな同じ関係者で、落選者も他のコンテストで同じような優遇を受けているのかな

さらにおもしろいのは
一般人には違いが理解できずに剽窃ではないかとの批判が多いから取り下げると
アホな理屈を言ったことだ
ノーバンしゃぶしゃぶ大蔵官僚がこんなことを言うので
ますます笑いは盛り上がった

さらには、日本全般がたるんでいることの一端である、みたいなことを
財界団体の代表が言った
私の感想では、日本全体がたるんでいるかどうかは、大きなお世話で、
この問題で明らかになったのは、日本の上の人達が全くたるみきっているということである
たるんでいるのはあんたでしょうと言う話

そして人がいないので、あろうことか「あの」武藤氏が美術芸術に関して論じているのである
ノーパン美術論というべきだろう
一般人にはわいせつとしか思えないだろう、そしてスカートの奥はみんな似ているとしか思えない、違いがわからないだろうが、
識者にはそれぞれがオリジナリティ豊かな芸術なのであるという意味で、「違いの分かる」武藤氏の登場なのだと思われた
これでまたしばらく笑えた
一般人にはだいたい同じものでも、好きな人にとっては、それぞれがぜんぜん違うものなのだろう
ナイスです武藤さん!

国際的に見れば恥ずかしい話であるが
私の周囲では、このことをもって日本がたるんでいると論じる外国人はいないようで
むしろ、日本が平和主義を捨て、9条を捨て、米軍のパシリになるのかと心配していて
バシリよりはパクリの方が平和でいいよとのことだ

心も顔もたるんでいるのは
戦争法案でまともな答弁もできない総理と防衛大臣である
「総合的に判断して」間違っていると思うが
アメリカの命令でどうしようもないし、しょぼい役だけど、誰かにとられるのも悔しい、と素直に言うこともできないし
これが彼らの役割なのであるというのはわかったから
何か理由をつけて早く辞めたほうがいい"