症状というものは器質性と神経症性の混合物である
たとえば、脳の器質性機能障害としての病変としては
統合失調症、双極性障害、てんかん、自閉性障害などあるのだが
それらは純粋型で現れるのではなく、
それらの障害を基底に持つ人が、現実を生きていくために工夫をして行動や思考を調整する
それが場合によっては症状の中での神経症性成分として理解される
その部分は、環境が変われば変わるし、従来からの精神療法が有効な場合も多い
薬剤が有効なのはたいていは精神病性・器質性成分に対してであるという考えも強い
もちろん、精神療法は、器質性症状に対してもトライしているのだが、
原理的に考えて、やはり薬物のほうが有効だろうし、必要だろうとは考えられる
環境が変われば神経症性部分はかなり変化する
それに対して、精神病性・器質性成分は環境変化があっても変化が見られないことが多い
ストレス脆弱性モデルではもちろん精神病も神経症もストレスと関係するのだが
脆弱性の要素が強いのが精神病成分で
ストレス性の要素が強いのが神経症成分だろう
たとえば統合失調症なおける幻覚妄想状態や自我障害は、
それがストレスに応じて出現するということもあるが、
それ自体ストレス要因として働くので、
そのストレスに応じて、神経症性症状が発生していて、
他者には、精神病性と神経症性の混合したものとして、
混然とした状態で受け止められる
最近では発達の問題という要素が加わっているので、
なおさら複雑な様相を呈している。
精神病性の成分は長期崩壊性であることが特徴であるのに対して、
自閉性障害は、ある程度、長期改善性の要素があることが特徴である
だから発達障害などと言ったりもする
まとめると
1-1.長期崩壊性・器質性・精神病性症状
1-2.長期発達遅延性・器質性・精神病性症状
2.環境依存性・神経症性症状
これらの混合として症状は観察される
家族はたいてい、患者さんの症状の解釈を、環境依存性・神経症性症状と解釈する。
それは患者さんも同様である。
精神病性とは思いたくないのが一般の傾向である。
精神病性・器質性の指標はなんであるかといえば、
一番大きな中心要素は、現実把握能力の喪失であると思う。
もう少し細かく言えば、
現実を認識し、自己の内部の予想と照合し、差があったら自己内部の予想を訂正する
この一連の機能が、傷害されることである。
現実照合訂正機能の障害と言ってもいいかもしれない。
照合訂正機能が弱くても、
最初からあまりずれていない現実イメージを持っている人は
あまり悩まないで過ごしていけるだろうと思う。
現実の関しての内的イメージが現実とずれている人や、
照合訂正機能が弱い人は、
それなりに進化の途中で有用なので、ゼロになるのがいいわけではない
多少いろいろな人がいたほうが進化論的には具合がいいようだ
しかしそのせいで、その人は個人的には、他人がしなくてもいい苦労をすることになるが、
それもまた人生、味わっていこうではないか