月額980円で音楽が聴き放題の音楽配信サービス「Apple Music(アップル・ミュージック)」に続いて、動画配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」が9月、日本に上陸することになった。ネットフリックスの登場は、世界の動画コンテンツビジネスのモデルを根底からひっくり返すといわれている。
ネットフリックスの場合、日本ではフジテレビと提携してサービス開始当初にはフジの『テラスハウス』などの人気コンテンツが先行配信される。地上波のバラエティ番組だが、仮にテレビではなく動画配信で見ることができるようになると、視聴者にとっては結構いい経験ができる。例えば、コマーシャルの前後で同じ映像を二度見する必要がなくなるのだ。「えーっ」というシーンで放送が中断して、「この後、驚きの展開がっ」という番組ナレーターの声とともにコマーシャルに入り、それが終わった後にもう一度その「えーっ」というシーンの30秒前から二度見させられるあの作法が、コマーシャルのないネット配信では必要がなくなる。
すでにパンドラの箱は開いてしまった。月額980円のアップル・ミュージックに加入した知人によれば、もうCDを購入する世界には戻れないという。筆者個人でいえば、月額400円の「dマガジン」(NTTドコモ)に加入して150誌以上の雑誌が読み放題になって以降、店舗で雑誌を買うことがなくなってしまった。「週刊文春」(文藝春秋)も「週刊現代」(講談社)も「AERA」(朝日新聞出版)も「週刊SPA!」(扶桑社)も定額で、というか気分的には無料で読めるようになってしまったら、もう有料の雑誌購読に戻ることはない。
ネットフリックスという黒船がどこまで本気で日本に上陸しようとしているのか。日本のテレビ界の未来は結局、彼らの本気度次第でどうなってしまうのかわからないという危うい岐路に来ている。