以前、スーパーに加工食品を納めている食品メーカーの方たちの話を伺った事がある。 彼らが言うには、 ・消費者は何かと自然な味、薄味がいいと言うが実際は味が濃いものがよく売れる ・とは言うものの少しでもしょっぱすぎたり酸っぱすぎたりすると嫌がられる ・そうなると、塩や醤油もしっかり使った上で、旨味と甘味をそれ以上に効かせるのが売れる商品になる ・実際にスーパーのバイヤーさんもそういう味付けじゃないとなかなかゴーを出さない。 私はこの話を聞いて、とてもいろんな事が腑に落ちた。 売ってる漬物はなんであんな味な

"以前、スーパーに加工食品を納めている食品メーカーの方たちの話を伺った事がある。

彼らが言うには、
・消費者は何かと自然な味、薄味がいいと言うが実際は味が濃いものがよく売れる
・とは言うものの少しでもしょっぱすぎたり酸っぱすぎたりすると嫌がられる
・そうなると、塩や醤油もしっかり使った上で、旨味と甘味をそれ以上に効かせるのが売れる商品になる
・実際にスーパーのバイヤーさんもそういう味付けじゃないとなかなかゴーを出さない。
私はこの話を聞いて、とてもいろんな事が腑に落ちた。
売ってる漬物はなんであんな味なのか。
売ってる塩辛などの海産珍味はなんであんな味なのか。
国産のハムやソーセージ、ベーコンなどはなんであんな味なのか。
業務用メーカーが勧めてくる既製品の惣菜やタレはなんであんな味なのか。
個人的な感覚と言えばそれまでだが、私はそれらは全て、甘味と旨味が過剰だと感じる。
別にしょっぱいならしょっぱいで良いのに、物足らないなら物足らないでもいいのに、と思う。
皆さんはどう感じるだろうか。
高級フレンチや懐石料理などの、素材がいいからこそ許されるギリギリまで控えた上品な味付け、そしてそれが物足らない事がないように贅沢なダシやフォンでまとめられた味わいは確かに素晴らしい。
だが日常の食べ物がみなそうである必要はないし、またそれは求めてもとこかに無理がある。
しょっぱいけどそのしょっぱさを我慢してこその美味しさ、とか
酸っぱいけどその酸っぱさを我慢してこその美味しさ、とか
臭いけどその臭さも込みで美味しい、とか
味薄いようだけど感覚を研ぎ澄ませたらじわじわ美味しくなってくる、とか
そういうものはもっとあっていいのではないかと思う。
あらゆる食べ物が全て同じように食べやすい味であるのはこれほどつまらないこともない。
「しょっぱければワインを飲めばいいではないか」とあるレストランのギャルソンは言った。
「漬物がしょっぱい?ならば米をたくさん食べればいいではないか」と私は言いたいのだが。
日本の消費者はシビアだ。
そして作り手は真面目で技術力も高いから、消費者が嫌がらないようなものをきちんと作って提供する。

それは確かに素晴らしい事だけど、それはどこか「ワガママな子供とそれを甘やかすママ」のような構図にも見えてしまうのは私だけだろうか。"